「いるかの学校」の頃

 先日、art space tetra で行われた、「詩と朗読の会」に参加。
 何ヶ月かに1回しか行われないのだけれど、もう3回目の参加である。
 今回もなかなか楽しい会だったのだが、途中でこういう話になった。

 子供の頃、いわゆる「大人向け」の読み物を何かの拍子に読む事がある。
 それは小説だったり雑誌の記事だったりするのだけれど、「大人向け」なだけに、性的な描写なんかにしばしば出くわしたりもする。
 そんな時のリアクションについての話になった。
 参加していた女性の一人で、小学校低学年の頃、美容院で読んださる女性週刊誌の読者投稿欄がそういう話ばっかりだったらしい。
 彼女は最初「まちがい探しコーナー」目当てにそれを読んだのだが、その投稿欄を知ってからすっかりハマってしまい、まちがい探しをするふりしてそればっかり読んでたそうだ(笑)。
 小学校低学年でその反応とはなかなか剛の者であるが、さて私はというとこれが全く逆だったりする。

 中学に入るか入らない頃だったと思うが、阿川弘之の「いるかの学校」という長編小説を読んだ事がある。
 おおまかな内容としては、いるかがやって来る海っぺりの温泉町の警察署の次長(元海軍で釣りと海軍ネタが三度の飯より好き)が、田舎ならではの様々な珍事件に出くわす人情喜劇的な作品である。
 今日的には、「ありし日の田舎の保守」のありようを(好意的に)描写した資料として一読の価値はあるだろう。
 ただ困った事に(?)温泉町の話なので、いきおい色にまつわるエピソードが多い。しかも今の視点から見ると、いろんな所から抗議が馬に喰わせるほど来そうな内容である。
 なので、今読んでる所を見つかったら結構みっともないかもしれない(笑)。
 だが、当時の私はというと、そういう話を何の抵抗もなく読んでいたのだ。
 と言っても、さっきの方とは全く逆である。信じてもらえないかもしれないが、当時の私はそういう話が何を意味するのか全く理解しないまま読んでいたのだ(晩生だったのである)。
 じゃあ何が面白くて読んでいたのかというと、今思うに当時はユーモアものが好きだったので、やはり人情喜劇的な味わいが良かったのと、随所に挿入される海軍ネタ(というか主人公の海軍キチガイっぷりの戯画的な描写)を面白がってたような気がする。
 なもんだから、その後数年を経て、「そういう事」についてある程度知識が出来た後に当時読んでた事を思い出した時の恥ずかしさと言ったらなかったぞ。
 つうか学校にも持って行って読んでた気がするので、もし先生とかに見られてたら没収されて説教喰らっててもおかしくなかった。よく無事だったなあ(笑)。

 さて、そういう意欲的なイヴェントを多くやっているtetraで開催される世界激場、開催が迫って参りました(なんて強引な。最近のTVの番宣みたい)↓。

日時:2012年9月2日(日) 18:00開場 18:30開演
会場:art space tetra (福岡市博多区須崎町 2-15 tel/fax 092-262-6560) 
料金:1,500円(+1 drink order)
予約・お問合せ:sekai_gekijou@yahoo.co.jp
主催:世界激場実行委員会

 是非おいで下さいませ☆。

付記
 ただ、「いるかの学校」を今再読したらそれはそれで面白いかもしれないとは思う。半分は突っ込み所を探すのが楽しそうというのがあるが(笑)、話の面白さとしてはそんなに劣化してないのではという気もするので。