TARJEELING ニューアルバム「Daily Colony News」発売記念連載 自録りインタヴュー第12回「(ほぼ)全曲解説“理想にチャンスをくれてやれ”

 みなさんこんにちは、聡文三です。
 好評発売中のTARJEELING4作目のアルバム「Daily Colony News」を語る自録りインタビュー“Talking ‘bout D.C.N.”、
 ついにクロージングトラックの「理想にチャンスをくれてやれ」についてのお話です。
 TARJEELING初のラップ(?)トラックはいかにして生まれたのか。ではご覧ください。


―さて「Nation States, ~」の後短いナレーショントラックを挟んで、いよいよ最終曲の「理想にチャンスをくれてやれ」なのですが、これは一応、ラップトラック…と言っていいんですかね。

聡:ですね(笑)。

―以前TARJEELINGと並行してやってたソロユニット「聡文三と彼のエレクトリックフレンド」では何曲かありましたが、TARJEELING名義では初めてじゃないですか?

聡:ええ、以前はそれこそエレクトリックフレンドでやってましたし、以前のTARJEELINGはそれをやるのには不向きな音楽性だったという事もあって(笑)、やってこなかったのですが。

―そもそもラップとかヒップホップってよく聴くんですか?

聡:正直そんなに聴かない(笑)。いや、中学の頃にRUN.DMCとかLL COOL Jとか出てきた時は「面白れぇな」と思いましたし、PEとか割と有名な人たちはちょこちょこ聴いたりしてたんですけど、やっぱり圧倒的にロック音楽の方が多いから。

―そういう人がなぜ今回?

聡:これはまず、タイトルから思いついたんですよね。確か原発再稼働について誰かとネットでやり取りしてた時に、「もう少し理想にチャンスを与えてやってもいいんじゃないですか」という発言を思わずしたんですけど。で、この言い方って何となくヘンじゃないですか。ふつうこんな言い回ししないでしょ?

―確かに普通なら「もっと理想を持とうよ」とかになりますかね。

聡:で、自分でも違和感があったの。それから少しして、ジョン・レノンのベスト盤かなんかかけてた時に「平和を我等に」って曲あるでしょう。あれの原題は「GIVE PEACE A CHANCE」。直訳すると「平和にチャンス(機会)を与えよう」ですよね。その事にフッと気づいて、我ながら「こっからか!」と(笑)。

John Lennon - Give Peace A Chance


―ははは。

聡:で、あの曲もサビ以外はラップっぽいっちゃあラップっぽいじゃないですか。そっから「あ、じゃこれラップみたいにしたら面白いかも」と思って、それで作り始めたんです。

―そういういきさつからかもしれませんが、バックトラックはいわゆるヒップホップ的なサウンドでは全くないですね。

聡:まあ「平和を我等に」っぽくも全然ないんですが(笑)。我ながら自分でもどこから出てきたのかよくわからない、何とんつくれん(「何とも言いようのない」という意味の八代地方の方言)サウンドになりました。…いや、最初は意図的に「平和を我等に」のオマージュっぽくしようともしてみたんです。それこそアコギの1コードをずっとストロークしたのを入れてみたりとか。でも全く良くなかったので(笑)、そのアイディアは捨てて、1から模索して作り上げることにしました。

―(笑)そこで例えばヒップホップの類型的なサウンドを学習してやってみようとは思わなかった?

聡:まず、やっても似合わないだろうなとは思いました(笑)。さっき1から模索したといいましたが、一つハッキリしていたのは、―語弊があるかもしれませんが―「カッコいい」サウンドにはしてはいけない、というのはありました。

―それはどういう事ですか?

聡:「理想にチャンスをくれてやれ」なんて、随分大それたセリフでしょ。またともすれば、上から目線に聞こえるかもしれない。そういう言葉を届けるにあたって、カッコいい―まあそもそもできないという話があるんですけど(笑)、それを装った感じでね―サウンドに乗せてやるというのは、リアリティがないような気がしたんです。冒頭の言葉も日常の風景のささいな家事をやる所から入ってますし、そんな大上段に構えない所から理想を追求することを訴える歌ですから、そういう意味での「ヘタレ感」(笑)みたいなのが大事かな、と思って作っていました。

―でもダサかったらそれはそれで聴いてもらえないですよね。

聡:そう!だからその匙加減がホント難しいというか、最後の最後まで難儀しました。自分でもこれでよかったのかどうか、本当の所はよくわからない(笑)。そういう意味ではカッコいいサウンドを目指した方がまだ楽だったかもしれない(笑)。


(続く)

理想にチャンスをくれてやれ

作詞、作曲;聡文三

トースターの中身が焼け焦げてるぜ。
オムレツは中身を入れ忘れていたぜ。
明日はもっと上手く行けばいいね。
理想にチャンスをくれてやろうぜ。

こんな寒い日には二度寝していたい。
世界が終わるまで二度寝していたい。
今日はそうするのが正解かもしれん。
けど、理想にチャンスをくれてやろうぜ。

出来る事をやる、それが出来ない。
育児もしなけりゃ意気地もない。
ああ、嘆きが繰言になっちゃいけない。
理想にチャンスをくれてやろうぜ。

憶えてない?夏の日のムーンシャワー。
心から泣いて笑った時間。
今も思い出せば背筋がスッとね。
理想にチャンスをくれてやろうぜ。

イマジネーション!直感!
経験が唄うシンプルな楽観!
積み上げる、brick by brick.
「その後」の日々を生きる礎となる。

眠れない夜を言い訳で埋めて、
償いの日々に居直りを決めて、
薄ら笑いで生きていたかないね。
理想にチャンスをくれてやろうぜ。

四六時中なんて誰にも出来ない。
それを要求する資格も誰にもない。
やりたい奴がやりたい時でいい。
理想にチャンスをくれてやろうぜ。

開かれる目の前の風景。
及び腰でもそこに飛び込むのがいい。
完璧な地図もプランもいらない。
ただ、理想にチャンスをくれてやろうぜ。

インテグレイション!共感!
生きていくだけでつかむ実感!
編み上げる、inch by inch. 
「その後」の日々にかける毛布となる。

イマジネーション!直感!
経験が唄うシンプルな楽観!
積み上げる、brick by brick.
「その後」の日々を生きる礎となる。

延々流れ流されてもなお、
散々裏切られ続けてもなお、
この場所に立つ時答えは同じ。
理想にチャンスをくれてやろうぜ。

YES!!

遅れてきた若者たちのために。


※トラックについての解説は今回でおしまいですが、自録りインタヴュー、もう少し続きます。お楽しみに!!


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料金:\1500+ドリンクチケット
出演:TARJEELING/トコロけんじ/サニー/幻一郎 miking more

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