怪奇!白昼に忽然と消えた一音の謎

 先週末。録音作業をしている際に面白い体験をした。
 あるパートを録音。取りあえずOKだったので、聴きなおしてみる。
 すると、弾いたはずの最後の一音が全く聴こえない。
 ありゃ。間違えたかな。と思いインディケーターを見ると、音はちゃんと出ているという表示。前後の状況から判断して、その演奏がバックの音に埋もれているわけでもない。
 機材の故障か?少し焦る。
 試みに、バックの演奏を全て消してその音だけ聴いてみる。
 すると、ちゃんと聴こえるではないか。
 バックの音を各パート毎につけたり消したりしてもちゃんと音は聴こえるのに、全部揃ったら今録った音のその部分だけきれーに聴こえなくなるのだ。不思議。
 
 考えられる線としては「逆位相になった」というのがある。
 音というのは基本的に波ですね。で、波の形というのが当然一つ一つあるわけ。
 で、その波の形とちょうど正反対の形の波が同じタイミングで重なると、打ち消しあってその波の音が聴こえなくなってしまうんですな。この正反対の波が「逆位相」なわけです(と知ったかぶりで解説してるが、正確なところはwikiかなんかで調べてね。但し専門用語が山積みで、骨の髄まで文系な私などは一語たりとも理解できませんが)。
 この場合、録音したパートとバックの音が最後の音だけちょうど逆位相となった、という事らしいんだけど、そんな事ってあるんかいな。
 よくCDのヴォーカルの音を消す機能、なんてのがあって、こういうのは逆位相を利用しているんだけど、これは人為的にヴォーカルの波と逆位相の波を作るんだよね。まったくの偶然で出来るもんじゃないと思うんだけどねえ。
 結局いくら音が入っていても聴こえないと意味がないわけで、そのパートだけ録り直した。
 すると今度はちゃんと最後まで聴こえるではないか。まあ同じように弾いたつもりでも、基本的に演奏がヘタクソなので(笑)、同じ演奏をしたつもりでもタイミング的に多少のずれができて逆位相を免れた、のかもしれない。
 いづれにしても長い宅録生活の中でこんな経験は始めてである。何かの魔術か、怪奇現象にでも遭遇したような気分だ。
 
 追記
 ここまで書いてきて思ったけど、これ自分で録音やってる人とか以外にとってはホントにどーでもいい内容だな(笑)。
 以前、ロック界随一の機材フェチでならすルー・リードがインタヴューで、「俺がギターに使う木の材質についてしゃべり始めた途端、インタヴューする奴の目がどよんと曇りやがる」とか言っていたが、多分この文読んでる人の殆ど全てはこの状態ですね(笑)。すみません。