週末日記

・3/17(土)
 夕方は練習だったが、その前に家人ととある雑貨展を見に行く。
 雑貨展、とは言っても近くのアパートの一室にあるこじんまりしたカフェ兼ギャラリーで催されているので、近所の散歩の延長といった感じで訪れた。
 そこのアパート、昭和40年代に建てられたと思しき古色蒼然とした建物で(今時中庭のあるアパートというのもなかなかお目にかかれまい)、以前は不隠な雰囲気が漂っていたのであるが、近年はいわゆる「リノベーション」という奴でカフェや雑貨店などを積極的に入れるようになり、「近所の穴場スポット」的なポジションに移行しつつある。
 私はこういった建物の再活用は基本的に良い事だと思っている。というか、日本は住み手のなくなった家屋や古アパートをすぐに取り壊してやたら新しい(だけ)な高層マンション等を「人口減ってるって言うのにこんなに作って誰が住むの?」というほど建てているが、もっと古い建物を有効に活用して欲しいものだと思う。
 そういえば雑貨展のあってたカフェ兼ギャラリーでは、看板犬(ふかふかのコーギー犬!)がお出迎えしていたが、という事はペット可なのか。う~む、家賃さえ折り合いつければこういう所に引っ越すのもアリかも。

 夕方から練習。今回は、3/24(土)のアコースティックショウ↓に向けての練習だ。

2012年3月24日(土)18:30開場 19:00開演
@福岡 HOOKY WOOKY
料金:1300円(+1drink order)
出演:TARJEELING/おおき恒平/弦智
※詳細はtagahillrecords@yahoo.co.jpまで!

 現行ではTARJEELINGは、「エレクトリックギター+MP3プレイヤーによるバックトラック」をレギュラー編成としているので、今回は選曲も通常とは異なるものを考えている。
 しばらくやっていなかった曲や、カヴァー曲や新曲も試みる予定。お楽しみに。

・3/18(日)
 しばらく紙類の整理を怠っていたら、机の上がとんでもない事になってしまっていたので今日は片付けに専念する。
 片付けのBGVとして、先日亡くなった吉本隆明氏の講演を特集したTV番組(3~4年前のOAだったと思う)を録画したDVDを流す。
 というと私が吉本隆明の大変なファンのようにとられかねないが、実の所私は氏の著作、しかも「共同幻想論」「マス・イメージ論」「最後の親鸞」といった主要な著作は全然読んでいないのである(軽いエッセイタッチのものや、インタヴュウや対談と言ったものは少しは読んでいるが)。
 その番組にしても、語られている内容は結構、というかかなり難しい上に、3時間(!)の講演から大雑把に抜粋してあるので、その思想をこの番組で知る事なんてとうてい出来ゃしないのだ。
 ただ、当時氏は既に83歳で、しかも登場時には車椅子を押されてやってくるという、「おいおい大丈夫か」という感じのスタートだったのだが、話し始めると俄然表情が生き生きとし出したのにはまったく驚かされたものだ。
 その語り口も決して大きな声ではないし、つっかえつっかえしながら振り絞るように語っていたのだが、聴いてる方をそらさない力というのが確実に宿っていて、(何が語られているのか実の所さっぱり分かんなかったにもかかわらず:笑)圧倒されたというか、その語りに説得されてしまったのを覚えている。
 先ほど言ったように、私は吉本隆明の思想の本質などまるで理解していないし、彼を礼賛する人の「吉本はここがすごい」も批判者の「だから吉本はダメなんだよ」も、どっちも良く分からない。
 ただこれは間違いないだろうと思うのは、多分これは―いわゆる論壇とかにいる人には―誰一人出来ないだろうと。80過ぎて足腰もままならないのに演壇に立ち、1時間半の予定を3時間も喋り、その内容の1割も理解できてないアホな歌屋を納得させてしまうような事は。極めて邪道な言い方ではあるが、それだけでも稀有な人だったんだと思う、つくづく。