鳴き声のような歌

 以前本コラムで、「TSUTAYAでソウルのCDをまとめ借りした」と書いたが、それをCD-Rに焼いた奴をここしばらくはよく聴いていた。
 今回借りた70年代のソウルというのはあまり、と言うか殆ど馴染みのないジャンル(50~60年代ものはちょこっとだけ知っていましたが)だったのだが、今までまともに聴かなかった事を後悔するくらい気に入っている。
 
 誤解を招く言い方になるかもしれないが、ソウルやジャズ、ブルーズ、あるいは黒人音楽を離れてカントリーやシャンソンなんかでもいいが、いわゆる「名歌手」の歌唱を聞いている時に、「こりゃ何か『鳴き声』みたいな歌だな」と思う事がある。
 「泣き声」、ではなく「鳴き声」。動物とか鳥とか虫とか、そういう「鳴く生き物」が本能や習性に応じて出す音声と、何か共通したものを感じるのだ。
 これは別に猛獣みたいな声で歌っているとか、具体的にそういう音声に似ているとかいう事ではない。曲があって、メロディラインがあって、それに乗っける言葉があって、そのフィーリングを声で表現しました、という「通常そうだと思われている歌の作法」とはどっか別の所からやって来ている歌、というか。
 これをして例えば「彼等の歌唱は理屈にとらわれない、人間の本能を解放した魂の叫びなのだ」などと結論付けるのはあまりにも安易に思える。
 ソウルミュージックでも70年代になると、サウンドなんかは大分洗練された―いやこの言い方は適切ではないな、「白人音楽的要素が増えた」とでもしとこう―ものになっているし、歌い方も割と迎えたものが多いのだが、「鳴き声みたいな感じ」が出る人はそういう音や歌唱法でもちゃんと出るのである。
 これは才能による所も大きいのだろうが、私は多くの場合、本人が「鳴き声のような歌」であろうと(無意識のうちにであろうが)意図してそうなっているのではないかと思っている。
 根拠はない。ただ、「鳴き声のような歌」を聴く事は、私にとって非常に心地よいだけでなく、色んな想像力や意思を掻きたてられる事は事実だ。
 
 そういう事を念頭におきつつ、今週と来週の公演↓に向けて練習を行っています。
 
2012年7月21日(土)開場18:00 開演18:30
@北九州 UN kokura
http://jmn-co.jp/un-kokura/index.html
料金:前売1500円 当日2000円
出演:TARJEELING/N'toko(スロバキア)/Jebiotto!(東京)/火の馬/宇宙サービス/スペクタクルズ/HARD OFF
※TARJEELINGは6番目の出演です(21:35頃)。
チケットのご予約・お問い合わせは
tagahillrecords@yahoo.co.jpまで!
 
2012年7月28日(土)18:30開場 19:00開演
@福岡 HOOKY WOOKY
http://hookywooky.jimdo.com/
料金:1300円(+1drink order)
出演:TARJEELING/チャーリー林/isojin/弦智
※チケットのご予約・お問い合わせは
tagahillrecords@yahoo.co.jpまで!