TARJEELING ニューアルバム「Daily Colony News」発売記念連載 自録りインタビュー第14回「雑談集」

 みなさんこんにちは、聡文三です。
 好評発売中のTARJEELING4作目のアルバム「Daily Colony News」を語る自録りインタビュー“Talking ‘bout D.C.N.”、
 今回は番外編という事で、アルバムにまつわるこぼれ話をいくつか収録します。

※「Daily Colony News」に影響を与えたアルバム

―「Daily Colony News」に影響を与えたアルバムについてお尋ねしたいんですが。七尾旅人「911FANTASIA」については以前お話しがありましたけど、例えば新聞をモチーフにしたアートワークは、ジョン・レノン&ヨーコ・オノの「SOMETIME IN NEW YORK CITY」を彷彿とさせます。


聡:はい、確かにアートワークに関してはそのまんまですね(笑)。ただ音楽的にはほとんど影響を受けておりません。ジョン・レノンで言ったらそれこそ以前申し上げた「平和を我等に」や、あと「ラジオゾンデ」の「天国は存在しない」というのは「IMAGINE」の「IMAGINE THERE'S NO HEAVEN」へのアンサーなんです、実は。

―へ~。

聡:他には、直接的な影響はないのですが、高校生の頃聴いていたロジャー・ウォーターズ「RADIO K.A.O.S.」は地下水脈的に繋がっているという気もします。あれもラジオをモチーフにしたコンセプトアルバムですしね。あとはB-FLOWER「CLOCKWISE」ネオアコっぽいイメージの彼等の中では異色の作品なんですが、僕は大好きで。郊外に暮らす様々な人々の生活を描写したコンセプトアルバムという点で通じるものがありますし、「Local Daily News」というタイトルの収録曲もあったりしますから(笑)。


スペシャルサンクスについて

―ブックレットのスペシャルサンクス欄に色んな名前が載っていますけど。交友関係のある人や、曲のモチーフになったエンゲルス鶴見俊輔なんかは分かりますが、池内紀(ドイツ文学者)や内田樹(思想家・武道家)、想田和弘(映画監督)なんて意外な名前も出てきます。この辺はどういう基準で?

聡:基本的に前作後のツアーやアルバム制作にあたって、お世話になった方やインスピレーションを受けた方を掲載しているのですが。池内さんの場合はいくつかの曲を作るにあたってヒントになった事柄を彼の本の中で知ったという経緯がありましたから。内田さんと想田さんは、実はアルバム制作中にお会い出来たんです。

―あ、そうなんですか?

聡:いやお会いしたといっても、想田さんの場合は映画(『選挙2』)の上映がらみのトークイヴェントで質疑応答の際に客席から質問したとか(笑)、内田さんは久留米の高校で講演されるのを知って終演後に駅で出待ちしてサイン頂いたとか、そういう事なんですけど(笑)。でも実査にお会いする事で、ただ彼らの本や映画に触れるとは違ったインスピレーションを受けたんです。

―それはどういうことですか。

聡:一言で言えば、「その人の思想の説得力は立ち居振る舞いに出る」という事かな。例えば想田さんは、作品についてはいくつか存じてたんですけど、どういう人かはまるで知らなかったんです。で、彼のtwitterとか見るとかなり論理的で手厳しいので、結構気難しそうな感じなんかなあ、と思って行ったら、実は快活で笑顔が素敵な(笑)青年で。

―(笑)。

聡:つっても私より年上なんですけどね。それがギャップとして感じられるのではなく、「ああなるほど、だからこういう考え方になるんだ」という感じでストンと腑に落ちたんです。内田さんの場合も、あの日は小雨が降ってて、しかもあの人ものすごく多忙でしょ。なので多分すごく急いでたと思うんですけど、そんなシチュエーションなのにタクシーのドアを開けて、雨を気にしながら外に出て、駅へと向かうその一連の所作が見惚れるくらい綺麗なんですよ。あの人は思想の身体性の大事さみたいなものをよく語られるんですが、彼の考えに同意しない人でも、あれ見たら一発で納得すると思う(笑)。そういう事がいくつかあったものですから、自分の音楽と、講演における身体表現に関しても、同じような説得力を持たなければいけないと強く思ったんです。いわゆるネット論壇的なものに、あまり心を動かされないのもそのせいかな。ああいう場で書き散らしている人たちが、その言葉に見合う立ち居振る舞いを常日頃しているようにはあまり思えないから。

―なるほど。ところで、今回はミュージシャンやバンドマンのクレジットは非常に少ないですね。

聡:それはやっぱり、単純にインスピレーションを受けなかったからではないですかね(笑)。ただ今回は講演活動を休止しての作業が長かったですし、その間は当然バンド関連の交流は乏しくなりますから、致し方ないという気もしますが。今後は当面講演中心の活動になりますから、そうしたらまた影響も復活するのではないですか。

※アートワーク制作秘話

―アートワークについては以前にも話していただいたのですが、今回は製作の実際について伺おうかと。

聡:まず図書館に行って、新聞の縮小版を片っ端から見るところから始めたんですよ(笑)。新聞を取っていないんですけど、たまに見ると今の新聞って、昔より字も大きくてカラーも多くて、全体的に紙面が明るめですよね。ただ個人的にそういった紙面は美的には今ひとつ面白くなかったので、昔―つっても30年くらい前が限界ですけどね、図書館にある縮小版は―のテイストを多く参考にしました。実際に作るにあたってしばらく材料の物色のために文房具店に通い詰めたのですが、今売ってるスクラップブックは随分おしゃれなデザインのものが多かったので驚いたのを覚えています。自分の子供の頃はそれこそ資料!みたいな奴ばっかりだった気がしますので。音楽を創る作業はすごくしんどさを伴う楽しさ、だったのですが、集めた材料をもとにパッケージを作成していくのは、ひたすら楽しかった!!これは自分でも意外でした。

―というと?

聡:およそそういう工作的な事が、著しく苦手な人間だと思っていたので。好き勝手に描いたりするのは嫌いじゃないですけど、仮にも売りもんなんだから、あまり出来上がりが1個1個バラバラとかもまずいじゃないですか(笑)。だから始める前は結構不安だったんですけど、やってみたら案外うまくいって、しかも面白くて。あんまり面白かったんで、作ってる所を動画撮影したくらいで(笑)。

―ははははは。

聡:この動画を編集して、パロディヴィデオみたいな形でいつかアップロードしようと思ってるんですけどね(笑)。


※自録りインタヴュー、長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。「Daily Colony News」をぜひよろしくお願いします!!!


=TARJEELING ニューアルバム「Daily Colony News」絶賛発売中!!!=
全12トラック、1800円。
2015年のこの国の状況にピシャッと対応した、ロックンロールの傑作アルバム。
「内面の植民地」を生きるすべての人たちに贈る、
深く静かに先行する革命のためのサウンドトラック。
絶賛発売中!!!
ご注文・お問い合わせは;
mail tagahillrecords@yahoo.co.jp
まずは上記アドレスへメッセージをお送りください!お渡し・お支払方法についてご連絡いたします。



=TARJEELING 11月講演=
日時:11/6(金)20時30分開講
料金:投げ銭制(要オーダー)
出演:TARJEELING/戸川祐華/コーチK/山岡モコモ

どちらもご予約、お問い合わせはメッセージをどうぞ!!メール、twittermixiいずれからでもOKです!!