ベストバランス

 先週末。丸々2日間、ミキシングに時間を費やした。
 とりあえず3曲仕上げ、テスト盤(CD-R)を焼いてみた。
 
 昨日やっとじっくりラジカセで試聴(レコーダーのヘッドフォンで聴くのとラジカセで聴くのでは全然感触が違います。基本的に私はラジカセで聴いてどうかの判断を尊重します)。
 パッと聴きの印象を一言で言うと「なんじゃこりゃ」。通常の基準で言うと、かなり変てこなバランスに仕上がっている。
 例えばある曲では、リズムトラックがこもって聴こえる。リズムはこもってるのにギターはジャキジャキいう(笑)。
 また他の曲では、ヴォーカルの音量がオケよりデカい。ジョナサンリッチマンか昔のエレカシかってな具合である(笑)。
 また、どの曲にも共通して言える事は、決めの箇所(ギターソロとか、イントロのカッティングとか)の音量がやたら大きい。60年代初頭のロックグループの音源にこの手のバランスがよくある(今思いついた例:THE KINKS「YOU REALLY GOT ME」。例のリフとギターソロだけ妙に馬鹿デカいでしょ?)。
 まあ、現行のポップ音楽のミキシングの常識から言ったら、かなりの確率で落第である。「サウンド&レコーディング」誌などに投稿したら1曲につき平均15箇所はダメ出しされるに違いない(笑)。
 
 ただ、目に余る箇所については若干の修正が必要としても、大筋はこの路線でいいのではないかという気がしている。
 理由は簡単。このミックスが、今の所聴いてて一番気持ちがいいからだ。
 不思議な事だが、このいびつなバランスこそがこの音楽に関してはベストバランスのようなのである。
 
 以前の当コラムで、「ミキシングについてはエゴに任せず、曲や音が要求している事に耳を傾け、それに従う事を第一義とする事を念頭においている」という主旨の文章を書いた↓。
 http://blogs.yahoo.co.jp/tagahillrecords/5254274.html
 勿論今回においてもそれを心がけて行った。その結果がこれである(笑)。どうなっているのでしょうか。
 
 今回の結果を受けて、どういうアルバムにするべきなのか、何となく胎が決まった。
 奇妙だけど、ベストバランス。
 それを目指すべきだろう。だってそれが一番「自然」なんだもの。
 
 とか何とか言っておいていざ作って他の人に聴かせたら「案外普通ですね」と言われる可能性は大だ(笑)。いわゆる「突飛な曲調」だの「常軌を逸したような叫び」というのは、今回はほぼないからね。けど坊やに嬢ちゃん、そんな「表面的なエキセントリック」さばかりに気をとられているといずれ痛い目に遭うんだぜ…。