臨機応変の説

 昨日。終業後、久し振りに天神のタワーレコードに赴く。
 佐野元春のセルフカヴァーアルバム「月と専制君主」を購入する為だ。
 店内に入って驚いた。全レジの前に、店舗の最後尾まで長蛇の列。
 一体何が起こっているのだ。昨今はCDがさっぱり売れないのではなかったのか。
 いぶかしみつつ列に並び、お客さんの様子を観察して納得する。どうも嵐の新作DVDが入荷しており、それを求めて人が大挙して押しかけているようなのだ。
 結局列に並んでから購入できるまで40分も待たされてしまった。
 いやその事自体に文句を言いたいのではない。日本一人気のあるグループの作品が出たのだ、多少は列が出来て待たされてしまうのは当然だろう。
 私がいかがなものかと思ったのは、レジの店員さんのお客のさばき方の事だ。
 
 天神のタワレコに行った方は分かると思うが、「店舗の最後尾まで」とはいっても店舗自体は横に長いので、縦方向となっている列の一つ一つがもうとんでもなく長いわけではない。
 なので、一人一人をテキパキとさばけばいくら何でも40分待つということはないように当初は思えた。
 だが。遅いのだ。とにかく流れるのが。
 まあ確かに、こういう場合特典のグッズや予約票の受け渡しなどでいつもよりは手間取るというのはある(私も経験者なので)。
 しかし、それにしても、流れない。また後ろから観察するに、店員さんが流れない事で特に焦ってる風情もない。
 どうなってるんだ?と思いつつ、じっと待つ。
 いよいよ自分の番になって、店員さんの対応をつぶさに観察してみた。
 
 通常のシチュエーションで言えば、店員さんの接客は大変立派なものであった。どう考えても「てんてこまい」な状況なのに、商品、代金、お釣りの受け渡し方にぞんざいな所が何一つなかったし、言葉使いやお辞儀も誠に丁寧。
 だけどね。「通常なら」、これは賞賛されてしかるべき態度なんだけど、(一列の長さ×レジの数で概算して)80人近い人間を長時間待たせるというイレギュラーな状況でまで貫徹すべき事かねそれは?
 勿論必要以上に事を急いて間違えてしまうよりはいいかもしれないけど、お辞儀のスピードをいつもより早めるとか、ポイントカードや釣銭についての説明を少しはしょるみたいな事をやっても、この場合は誰からも「接客がなってない」などと文句は出ないと思うよ。
 もしそういう事を言うような奴がいたら、それは言う奴が悪いと思う。もし俺の目の前にそんな馬鹿がいたら、後ろから蹴り入れてやるけど(笑)。
 あとこれは主観になっちゃうけど、あんまり店員さんの態度に「お客さん待たせて悪いな。何とかしないとな」って風情が感じられなかった。どっちかというと具体的な接客態度よりそっちの方が残念。
 何だか「マニュアル通りに丁寧な接客しておけば上からも客からも文句言われないしね~」みたいなものを、感じてしまったんだよねえ。いやそこまで悪意的じゃないな。臨機応変に対応するという事をそもそも思いつけないというか、そんな感じだった。
 
 前振りが長くなってしまったので「月と専制君主」の感想はまた後ほど。