Virtual Interview with SOH BUNZOH about TARJEELING's Brand New Album "F1 Blues"(第5回)

2022年5月3日に発売されたTARJEELINGの新しいアルバム、「F1 Blues」。
一部ではキャリア最高傑作との声もある本作について語り尽くす連載企画、
「Virtual Interview with SOH BUNZOH about TARJEELING's Brand New Album "F1 Blues"」、
第5回はトラック5「アンラク(Album Version)」についてです。
どうぞ!!

前回の内容はこちら↓
https://tagahillrecords.hatenablog.com/entry/2022/05/28/211834

TARJEELING 2022年ニューアルバム「F1 Blues」特集↓
https://tagahillrecords.hatenablog.com/archive/category/TARJEELING%202022%E5%B9%B4%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E3%80%8CF1%20Blues%E3%80%8D%E7%89%B9%E9%9B%86

「狂いっぱなしの人生」のような絵に描いたようなギターロックもある中で、「F1 Blues」には、通常のロック/ポップ音楽のアンサンブルからかなり逸脱した構成の楽曲がいくつか存在する。「アンラク」はその一つだ。キーボードのループを基調として、かなり変則的なリズムパターン(何とスネアがなく、バスドラムも曲を通して数回しか鳴らされない!)に大き目にミックスされたベースが絡み、ピッチを上げたコーラスと共に東洋的で陰鬱なメロディーラインが歌われるというもの。ちなみにごく一部のパートを除きギターは使用されていない。
先に書いたように、この曲はCOVID-19が猛威を振るい始めた当初にライヴハウスや映画館の支援サイトを紹介する目的でSoundcloudでリリースされた。

しかし、今回アルバムに収められたヴァージョンはそれとはかなり様相が異なる。まず、最初のリリース時に中間部に大胆にあしらわれていたとある90年代を代表する超有名曲のイントロ(ただし、これはサンプリングではなく聡自身が演奏したもの。「チャック・ベリーの曲のイントロを引用したロックナンバーみたいなものです」と聡はコメントしている)は相当カットされた形で冒頭部分に移動され、その代わりに中間部には老人の声で、給湯付きの風呂、年金、コルクで栓がされているワインといったものを欲しがり、「わしは生きていたいのだ!」と絶叫するパートが設けられている。驚いた事にこの老人の声を演じているのも聡自身だ…。「ほんの一瞬だけ、『この曲を聞いた人が声優の仕事をオファーしてくるんじゃないかな』と思いましたよ」と聡は冗談めかして語った。「でもよく考えたら私は既に老人なので、老人が老人の声を演じても当たり前だと言われるのがオチだと気づきましたけど」。
そもそも何で当初のヴァージョンをあそこまで改変したのですか?
「元々COVID-19パンデミックが始まった頃、急遽ライヴハウス支援をアピールするために曲をリリースする事を思いついたのですが、その頃はまだ録音作業の初期段階だったので使用可能なトラックがほとんどなかったんです。『アンラク』も実は途中までしか出来てなくて、あの中間部はリリースを早くするためにかなりイージーな思いつきで付け加えた(笑)。急いでやった割には結果的にはあれはあれで悪くなかったですけど、アルバムに収録するにあたって作り直した方が本来の狙いに近い」
あの老人のセリフはどういう意図で?
「元になっているのはPeter Altenbergという19世紀末~20世紀初頭のウィーンに実在した人物の逸話なんです。彼は文才があったのですが、収入の大半を彼を支持ずる文学仲間からたかる事で得ていたそうで(笑)。あのセリフは彼の支援者との間にそういうやりとりがあったと知り、アレンジして使いました。『アンラク』の歌詞はある人の人物評を周りにいた人間が行っている、という裏設定があるのですが、その人物像がPeter Altenbergの食えない感じを彷彿とさせるものがあったので、これはピッタリだろうと思って」
タイトルと、サビに連呼される「アンラク=安楽」は安楽死を連想させるのがいささか悪趣味ではないかと指摘すると聡はかぶりを振って反論した。
「そういう見方もあるでしょうけど、この曲の焦点はどちらかと言えば無責任な人物評をめいめい勝手に行っている周囲への皮肉なんですよ。最後の最後に『ああ…、そういう奴だった』と語る歌詞があるでしょ?人が若くして死んだり自死したりすると後になってしたり顔でそういうコメントを出す人っているじゃないですか(笑)。そういう奴ってどういう奴だよ?と。」
ちなみにこのフレーズも、とある有名人の逸話が元になって出来たものらしい。しかしこれについては、聡は頑なに元ネタを教えてくれなかった。「この曲についてはいささか喋り過ぎました。少しくらいは秘密を残しておいた方がいいでしょう」
(続く)

聡文三音楽活動30周年記念作品、
TARJEELING 6th Album 「F1 Blues」(品番:THCD-010)、
2022年5月3日発売!!!
全14トラック、2000円(税抜)。
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