2022年5月3日に発売されたTARJEELINGの新しいアルバム、「F1 Blues」。
一部ではキャリア最高傑作との声もある本作について語り尽くす連載企画、
「Virtual Interview with SOH BUNZOH about TARJEELING's Brand New Album "F1 Blues"」、
第5回はトラック6「Xylophone Loop」とトラック7「無縁の倉庫街」についてです。
どうぞ！！
前回の内容はこちら↓
https://tagahillrecords.hatenablog.com/entry/2022/06/26/211054
TARJEELING 2022年ニューアルバム「F1 Blues」特集↓
https://tagahillrecords.hatenablog.com/archive/category/TARJEELING%202022%E5%B9%B4%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E3%80%8CF1%20Blues%E3%80%8D%E7%89%B9%E9%9B%86
かなりトリッキーな曲とも言える「アンラク」から短いインスト「Xylophone Loop」（「当初はお経のような歌詞のないチャントを入れていたのですが、しっくり来なかったので外しました」と聡）を経てからの「無縁の倉庫街」は、TARJEELING流ラテン歌謡とでも言うべき意外なサウンドだ。これは新しい方向性を示唆しているのか？という問いを聡は笑って否定する。
「そもそもアルバムの曲の中でこの曲は一番古いものの一つですからね。最初にアイディアが浮かんだのは10年以上前―当時埠頭の方にさる篤志家が若いアーティストのために開いていたアトリエがあって（註：2011年まで福岡市に存在していた「共同アトリエ 3号倉庫」の事」）、そこに作品展を見に行こうとあの辺りを自転車で飛ばしていた時に思いついたんです。ただ、その時は「やって来たのは倉庫街～」くらいしか出来てなかった（笑）。何年か放っておいた後、今度は全然別の場所に自転車で向かっていた際にサビの所を思いついて完成させました。…ああいうラテンっぽいリズムは前からやってみたかったんです。初期の頃の、まだ2人体制だった頃のTARJEELINGで『BOSSACORE』とか『GOOD LUCK』なんかの曲でいわゆるエイトビートとは違うニュアンスのリズムをを何とか取り入れようとして、あまり上手く行かなかったり（笑）していましたから、新しい方向性というよりは、以前からの野望をやっと叶えた、という感じですかね」
また、当初なかなか決まらなかった歌詞を完成させるにあたっては、ある有名曲についての感慨が起爆剤になったという。その事に水を向けると、一瞬「そこに触れるのかよ」といった面持ちで顔をしかめはしたものの、穏やかに聡は答えてくれた。
「中島みゆき先生の『糸』という曲があるでしょう。いや、あの曲自体は別にいいんですよ？ただ、あそこで歌われているような人と人との暖かい交感、それ自体から疎外され、隔絶されているような人たちもまたこの世には絶対存在するよなと。タイトルを『無縁の倉庫街』としたのもその事があって。『糸』的な暖かさが何一つ通用しない世界にやって来て、そこで生きざるを得ない人たちのどうしようもなさを描写するために、いくつかフレーズをひねらせて頂いた、という感じですね。」
それが「縦のゴム紐 横のタコ糸」とか「逃れてきたの？追われているの？訪ねてくる者も誰となく」といったフレーズに現れているのだろうか。だとしたらかなり皮肉な使い方だ。
「うん、あなたと私がゴム紐とタコ糸位かけ離れてたら、そもそも布になりようがないでしょ（笑）。またどこから来たどこへ行くなんて追われてる奴に聞いたって答えちゃくれないし、そもそも聞く奴なんていないっていう。ここに出てくる倉庫街はそういう場所であり、またそういう場所に人生変えるために好き好んで行ったり、不可避的に行かざるを得ない奴もいるものだ、という意図のものなんです。中島先生の事は尊敬していますよ（笑）！それはちゃんと書いておいて下さいね」
（続く）
聡文三音楽活動30周年記念作品、
TARJEELING 6th Album 「F1 Blues」（品番：THCD-010）、
2022年5月3日発売！！！
全14トラック、2000円（税抜）。
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