誰も触れない4人だけの国

 昨夜、NHKの音楽番組「SONGS」にスピッツが出演しているのを見た。
 いやあ、凄すぎて笑った。
 あの「変わらなさ」は凄いを通り越して異常だ。人間、ああも変わらずにいられるものだろうか。
 
 私がスピッツの存在を知ったのは彼等がメジャーデビューした年の終わり頃で、超名盤「名前をつけてやる」をリリースした頃だったからもう20年程前になる。
 その時の印象を一言で言うと、「すごくいいけど、ヘンなバンド」。
 ヘンなバンドというのは、「掴みどころのないバンド」と言い換えてもいいかもしれない。
 例えば、メロディーラインはピカ1なのに歌詞がシュールでよく分からない。かと言って、サブカル好き御用達みたいな閉鎖的な感じもしない。
 また、ローゼズとかライドとか、「当時最先端の洋楽ロック」の影響を絶対感じさせるのに、同時期の「洋楽マニア系、世界同時進行の音を目指してますよ系」なバンド(フリッパーズギター、ヴィーナスペーター、他多数)に比べると明らかに日本的な佇まい、というかちょっとダサい、おしゃれじゃない(笑)。けどそれが決してマイナスになってない。
 あるいは歪んだギターの音が鳴りっぱなしもどっかヘナヘナで弱っちい感触しか残さない。それも才能がないからそうなるとか逆に確信犯でやってるとか言うより、純粋に体質の問題みたいな感じ。
 他にも挙げていけばキリがないけど、よく考えたら相当規格外な所が一杯あるバンドだったのだ。
 また「それを売りにするぞ!」みたいな押しの強さも全く感じさせないバンドだったので、くだんのアルバムを愛聴しつつも「メチャクチャいいけど、すげえマニアックな支持で終るんやろうなあこのバンド」と、結構失礼な事を思っていたものでした。
 
 今となっては上記の見立てはもう笑うしかないですね(笑)。でも当時はスピッツ好きな人は皆そう思ってたと思うんだけど。
 ただやはり特筆すべきは、こんなにヒット曲を連発して、セールスも評価も安定してて、下北でインディーバンドやってるニイちゃんからさだまさし好きなオバちゃんとかまで支持されるような事になってんのに、佇まいもやってる事も本質的にはなーーーーーーんも変わってない所だろう。
 つうかホント笑ったもん番組の冒頭に「空を飛べるはず」歌い始めた時。何だろうこの貫禄のなさはって(笑)。どうやったらこんなにスレてない、歌番組の最後らへんにオマケで出させてもらってるような(!)新人バンドみたいな感じで歌えるんだろうって。なのに音楽だけはこの20年ずっと鉄板。でも決して、未だに、主流ではない(まさに「オルタナティヴ」!)。
 こんな事が他の誰に出来る?