不定期連載 馬の脚 第一回「出来ること」について

ご無沙汰しております。聡文三です。
 お元気でしょうか。って、あまり元気の出ない状況ではありますが。
 突然ではございますが、これからしばらく、震災以降に考えた事について不定期で長文を書いていこうかと思っています(いつまで続くか分かりませんが)。
 題して、「馬の脚」。
 ヘンなタイトルですが、つまり、これを書いていく事で恐らく、私自身が「馬脚を現す」事になるだろうと思うからです。その事によってサヨだのウヨだの人非人だのとレッテルを貼られたり、あんな奴だとは思わなかっただの、もうマイミクから外すだの(笑)と言われたり晒されたり、色々あるかも知れませんが、委細構わずやろうかと思っています。
 もう既にバレバレだって?そうかもね(笑)。
 先日の事。久し振りに「世界激場http://sekaigekijou.jugem.jp 共同主催者のみねまいこさんと会って、今後について話し合いました。
 内容はまあ、今の段階では話せないのですが、一つだけおかしかった事があって。
 話の途中で、みねさんが何やらホッとした顔で曰く、「よかったあ」と。何が?と問うた所、「いや、今回の震災を受けて、次回の世界激場をチャリティにするとか言われたらどうしようかと思った」ですと。
 いやあ、悪いけど俺そんなタマじゃないから(笑)。絶対やんないですそんな事は。
 
 被災者へのチャリティライヴを行ったり、通常のライヴでも売り上げの一部を義援金に回す、という動きが今あちこちで起きてるみたいですが、別にやりたい人はやったらいいと思います。その事についてとやかく言うつもりは一切ございません。
 ただ、俺はやりません。また、そういうライヴに出たいとも思いません。
 理由は2つあります。
 一つは、単純にそうした事が生理的にこっぱずかしくてしょうがないという事。まあこれは個人の資質の問題ですね。
 そしてもう一つは、自分の場合その方法はあまり効果的でないと思うからです。
 効果的な支援って何でしょう。
 思うにその条件は3つあって、①できるだけ速く②一番有効と思われる方法を選んで③自分に出来るだけの規模で行う 事ではないかと。
 自分がやれる事で一番その条件に合致しそうなのは、平たく言えば「とっととそれなりの額の金を身銭切ってしかるべき支援組織に渡す」事なんです。
 それなりの時間をかけてライヴを企画し、歌を歌ってお客さんに募金を呼びかけるなんて事より断然、こっちの方が「手っ取り早い」し「効果が上がる」のです。
 ただこれはあくまで自分の場合です。人によってはチャリティライヴの方が「手っ取り早い」人もいるでしょう。そういう方はドンドンそういう事を企画すりゃあいいと思う(笑)。ただ俺には向かない。それだけの事です。
 
 一つだけはっきりさせておきたい。今の段階で遠く離れた場所で「被災者のために」音楽をやっても、それは恐らく彼等に届きません(たとえU-STREAMとかで同時中継したとしても。「届く」というのはそういう問題ではないでしょう?)。その事はわきまえておくべきだと思います。
 
 自分に出来ることは何だろう。
 震災以降、このフレーズはあらゆる所でリピートされています。
 俺も考えてしまいます。この言葉自体がある種曲者だとは分かっていても。
 直接的な支援の方法というのは、前述の通り限られていて、また自分の力では大した事など出来ません。
 ただ、もう少し「出来ること」の枠組みを広げて考えてみたいのです。
 例えば、あと何ヶ月先か何年先か分かりませんが、今回の震災の混乱がある程度「落ち着いてくる」時期が来ると思うんですね。大変さは依然続くでしょうが、「日常」が戻ってくる時というか。
 その時、世の中の方向性がどっちを向いているだろうか、という事を最近考えるようになりました。
 そして、ともすれば「正しさ」に窒息しそうな今の空気を未来の日常に持ち越さないためにはどうすればよいかを考え、発言し、歌を作り、生きていこうかと思っています。
 やや抽象的ですが、それが私の「出来ること」と信じています。