不定期連載 馬の脚 第二回「大人の責任」

 前回より始まった不定期連載「馬の脚」。
 第一回の分を改めて見直すと、う~ん、手ぬるい!
 「馬脚を現す」にも何にもなってねえぜこりゃ。
 もうちょっと直截に書いてみようか。
 あのね、チャリティライヴで義援金とか、そういうのは俺、嫌いなの!
 黙って金送ったほうが性に合ってるの(もう言っちゃったから「黙って」になってないけど)!
 やりたい人はやりゃあいいけど、それが「正しい」からやりましょうというのはダメだと思うの!!
 以上!!!
 
 さて、たまには話題になってる事を取り上げてアクセス数を稼いでみよう(笑)。
 先日より、中学生のアイドルタレント、藤波心さんのブログが原発問題を取り上げたという事で話題になっている↓。
 http://ameblo.jp/cocoro2008/entry-10839026826.html
 で、こうした事の常として、ありとあらゆる類の賛否や毀誉褒貶、誹謗中傷などなどがコメント欄に投稿されている。
 私は高橋源一郎さんがtwitterで紹介していて知りました。高橋さん曰く、「地震発生以来、ぼくが読んだもっとも知的な文章」との事。
 そのコメントが正しいかどうかというのは、ちょっと私には分からない。
 ただ、上の文章(及びその後のエントリ)を読んでまず私が思ったのは、「ああ、この子は『まとも』だ」というシンプルな感想だった。
 「まとも」というのは2つ意味があって、まずは震災や原発の報道を見て当然思うであろう疑問や意見を率直に言っているという事。
 もう一つは、「まともな若者」とでもいうような意味だ。
 
 藤波さんの書いている文の中には、事実誤認の箇所もあるのかもしれない。
 また、世間を知らないで書いている所もあるだろう。
 もちろん、自分が中学生という事やアイドルという注目されやすい立場である事ゆえに甘えていたり、勘違いしている所もある。
 で、彼女に罵声を浴びせるようなコメントは、大抵の場合それを根拠にしている。
 でも、そもそも「若者」というのは、そういうものじゃないかな?
 自分の至らなさ、先走る感じ、知識のなさ、甘え…、そうしたものを当然はらみつつ、でも理想を率直に語る、というのは、昔から「若さ故の勇み足」として、微笑ましく思われたり励まされたりこそすれ、侮蔑の対象とはみなされないものだと私は思っていたが。そして「大人」というのは、そういう「若者の至らなさ」を見守る事が出来る故に大人だと思っていたが。
 藤波さん自身、前述の「若さゆえの欠点」についてある程度自覚しているように私には読める。この年でそこまで出来ているなら、十分だと思うんだけどね。
 
 逆にそういう類の中傷をしている連中に言いたい。君は彼女の年の頃、そんなにご立派な人間だったのか。原子力発電についてそんなに正確な知識を持ち、色々な立場からの意見を冷静に吟味でき、ついでに原子力エネルギーなしでは成立しない現代の都市文明を引き受けるような諦念すら持ち合わせていたというのか。仮にそれが出来てたとして、そのご立派な中学生が成長して、今は何をやっているのだ。そんなに貴様が神童だったというなら、今回の原発事故を安全に解決できる方法の一つでも提示したらどうなんだ。それが出来ない以上、貴様にまだ年端の行かない、選挙権も持ち合わせていない人間にご高説を垂れる資格など一切ない。第一中学生に向かって「厨房」というのが侮蔑として成立すると考えている時点で、貴様には論理的な思考力すら備わっていない(中学生に「厨房」と言っても、「そりゃそうだろ」で終わりだからね)。人の知的水準を云々している場合じゃねえだろ。
 
 藤波さんのような世代の者に向けて「大人」がまずやるべき事は、その至らなさを列挙して罵倒する事なんかじゃない。
 何よりもまず、「こんな事態が起こるような世の中」にしてしまった事について、謝罪をしなければならないのではないか。
 だって、子供は世の中を選べずに産まれてきて、まだ世の中を変える権利も力も与えられていないのだから、「こんな世の中」になってしまったのは、大人の責任だ。
 だから、俺はここで俺の責任の分、藤波さんやその同世代、それよりちょっと上や下の世代、すなわちすべての「子供」達に対して謝罪をしようと思う。
 
 こんな世の中にしてしまって、本当に、申し訳ありませんでした!!!
 全ての責任は「大人」にあります!!!!
 こんな「大人」達の行いを見てて、君たちが「この世の中」を見限ってしまってもしかたがないかもしれません。
 しかし、まことに勝手なお願いではありますが、
 どうか、もうちょっとだけ、もうちょっとだけでいいから、
 君達が「大人」になった時に、今よりましな世の中になっている事を、
 あきらめないで頂けないでしょうか!!!
 私も、微力ながら、私の思う「ましな世の中」「自分が幸せに思える世の中」にちょっとでも近づくために前に進みますから!
 お願いします!!!!!