Virtual Interview with SOH BUNZOH about TARJEELING's Brand New Album "F1 Blues"(第1回)

先日より発表のお伝えをしていましたTARJEELINGの新しいアルバム、「F1 Blues」についてですが、
ようやく発売日が決定いたしました!!!
2022年5月3日を発売日といたします。
それに伴い、私が本作について語り尽くす、
「Virtual Interview with SOH BUNZOH about TARJEELING's Brand New Album "F1 Blues"」を不定期連載いたします。
本日が第1回です。どうぞ!!

まだオミクロン株がこの国で猛威を振るい始める直前だった2022年初頭、私はTARJEELINGが「Quiet Life」以来となるニューアルバムを発表すると聞き、首魁である聡文三との長時間に及ぶインタヴューセッションを行った。
時節柄オンラインでの会見も当初検討されたが、結局は直接相対して対話を交わす事となった―ただし脳内で。
「ある意味、オンライン以上に感染に配慮した方法ですからね」と聡は苦笑する。久しぶりに相対する彼はベストにネクタイ、それに白シャツの両肘を覆う腕抜きといった、お馴染みのいでたちだ。「オンラインだとウィルスソフトの感染リスクがありますから。」
2020年にCOVID-19が上陸して以来、多くの(殆どと言ってもいいかもしれない)職業の人々が甚大なダメージを受け、中でもライヴハウスが当初主だった感染源として飲食業とともに槍玉に上げられた。TARJEELINGの講演数もその前年に比べ大きく減少する事となったが、以外にもその理由の多くはCOVID-19によるものではないと言う。
「元々2020年からは講演数を減らすつもりだったんです」。と語った後聡はこう続けた。「2019年の秋に20年共に暮らした猫を亡くしたのですが、それが講演の当日で。講演自体は何とか気合で乗り切った事もあってとても上手くいったのですが、終わった後、『今後こういう生活は少しずつ変えていった方がいいな』とも思いました。つまり、音源製作→発表→講演のサイクルを延々続けていくような生活を。」
実の所、少なくとも2020年においては当初考えていたよりも多くの講演を行う事となった。「私の出来る事などたかが知れていますが、少しでもお世話になっているライヴハウスの収益の足しになればよいと思い、いただいたお話は極力受けるようにしたんです。勿論、感染対策については事前にしっかり確認し、ライヴハウスの安全性をアピールするために告知の際にも分かる範囲で明記しました。」また、当初リリースの予定はなかった新曲「アンラク」をSoundCloudで緊急リリースし、そのページにライヴハウスや映画館の支援サイトを日本語・英語の両方で掲載した。

 

 

soundcloud.com

 

それにしても、音源製作は滞りなく続けられるとは言え、講演活動やライヴスポット、または映画館などに自由に行けない日常が長期化する事は創作にどれくらい影響したのだろうか?
少し考えた後、「全く影響がないというと嘘になりますが」と聡は語り始めた。「元々家の中にいる事自体はそう苦ではないんです。それに食料や生活必需品の全てをネットで調達するほどオンライン化した生活を送ってもいませんでしたので、折を見ては買い出しに行って、勿論長時間の滞在は控えたものの、それなりに息抜きにはなりましたよ。徐々に変わっていく街の様子を観察したりして、それを曲作りにフィードバックさせた所もあります。」
COVID-19禍の状況がどれほどフィードバックされたのかは不明だが、新作「F1 Blues」は前作「Quiet Life」の、シリアスではありつつサウンドや曲調的にはポップフィーリングが漂っていたのとは真逆の、陰鬱とも言えるヴァイヴに満ちたものとなっている。「まさに『Blues』という感じでしょ?」と聡は笑う。確かにこれはある種ブルーズ・アルバムと言っていいものかもしれない。しかし、頭につけられた「F1」とは何を意味するのだろう?―まさか世界的なモーターレースの事でもあるまい。
「ああ、それはちょっとした勘違いから始まったんです」と聡。「以前ある本(『伝統の想像力』辻井喬著)の中で『F1種』という言葉を知ったんです。一代限りの種、という意味で、著者は日本の現代詩とはF1種のようなものではないかと問題提起をしていて。で、その言葉を知った時に面白いと思って、借用しました。ただ後で知ったのですが、遺伝学では必ずしもF1種って一代限りという意味でもないらしいんですけど(笑)。」
一代限りという意味に惹きつけられたのは何故でしょうか?
居住まいを正して聡は語り始めた。「COVID-19―いや、それ以前から始まっていたのかもしれません―とにかくここ数年、世界中が不穏な情勢にある中で、メディアやSNS上で色んな立場の人々の数多の言動を目にしましたが、そのほとんどは失望するものばかりだったんです。特に私が若い頃、非常に影響を受けた人や優れた仕事をしていると思っていた人が、手もなく陰謀論に堕したりレイシズムに加担したり反ワクチン論を振りかざしたりといった事例に大量に出くわして。で、あまりにもそういう事例を多く見てしまうと、『自分がかつて素晴らしいと思っていた価値観は、実はとんでもないあだ花に過ぎなかったんじゃないか?』という気持ちが強くなってきてしまったんです。そういう事がタイトルのみならず、今回の作品そのものにも反映されているのだろうとは思います。」
(続く)

聡文三音楽活動30周年記念作品、
TARJEELING 6th Album 「F1 Blues」(品番:THCD-010)、
2022年5月3日発売決定!!!
全14トラック、2000円(税抜)。
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