まあ「頑張って試聴する」事自体が正に「新しいものを理解しようと躍起になってる」事じゃん、と言われたら一言もないのだが(笑)。

 私がよくチェックするブログに、今回面白い記事が載っていました↓。
 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20100523/1274631061
 いつになく私の専門(?)の音楽に関連したネタという事で興味深く読んだのですが、
 今回はその中で触れられていた「感性の保守化」についての雑感を。
 紙屋さんは感性の保守化によってマンガ(私の場合は音楽になりますね)が面白くなくなる構図について、
>というのは、
>ぼく自身が少年マンガや少女マンガを読むのがだんだんキツくなってきていて、
>それは加齢と自分の感性の保守化のせいじゃないのかと思うからなのです。
>かつて伊藤剛が「マンガはつまらなくなった」的言説を検討して、
>そういうのをマンガ一般のせいにしたり、世代間ギャップのせいにするのはよくないよ、
>マンガの構造の変化を見ようね、と言っていたのですが、
>まあその種の自己反省は誰にでも要るんじゃないかって話なんです。
 と書かれています。
 「少年マンガや少女マンガ」と書かれているので、マンガの中でも特に子供やティーンエイジャー、学生を主な対象読者とした作品と今の自分の感性とのギャップがある、という事だと理解しましたが、
 私なんかで言ったら「今更神聖かまてっちゃん(違う?ひょっとしてティーンエイジャー、あんま聴いてない?:笑)とかガキくさくて聴けるかい!」とかそういう感じになるのかなあと(笑)。
 う~ん。難しいですね。確かに俺、かまてっちゃん聴く気がしないもんね(笑)。
 そういう意味では自分の感性が保守化してるというのは全く当たってると思います。
 ただそれが即忌むべきものだとは、私には思えないんですね。
 例えばこないだタワレコに行った時、頑張って3階(J-POP、J-ROCK)のコーナーに行って試聴とかしてみたわけですよ、世界の終わりとか(笑)。でも悪いんだけど30秒で堪えられなくなっちゃうわけ。
 でもそうだな、自分が好んで聴くタイプじゃないけど、例えば9mmなんとか(バンド名長過ぎて憶えられませんでした:笑)とかだったら全然アリで面白いバンドだと思うし、一つ上の階(洋楽)に行って、FOALSとかLCDサウンドシステムとかは試聴機の前で踊りながら聴けたりするわけだ(笑)。
 これが「保守的な感性」かどうかは読んでる人が判断して下さればいいのですが、仮にそれが「保守的な感性」だったとしても、それを根拠にして現状を全否定するとかでない限り、別にいいじゃねえかよという気もするのです。
 だって聴くものがまだあるし、過去に逃避しているわけじゃないし。もし仮に聴くものがなくなったとしたら、その時は潔く音楽を聴く生活からリタイアすればいい事であって。自分の経験からしみじみ思いますが、「音楽を聴き続ける人生」が必ずしもその人にとってベストとは限らない事もあるわけですから。
 というか、「自分の感性が保守的になってしまった」、少なくとも部分的にはそうなりつつある事をきちんと引き受けるのも大事な事だと思うんですよね。
 例えばずっと音楽なりマンガなりと接してきて、ある日自分と全く接点の持てないような作品とかがボコボコ出てきて、それが席巻したとします。
 今の所僕はそんな事には(ギリギリ)なってないと思いますが、そういう事態が来るかも知れないというのはそれなりに恐怖です。
 でも例えばそうなったとして、そりゃあ寂しいし怖いでしょうが、そこで必死に流れに抗うかのごとく新しいものを理解しようと躍起になる事にどれほどの意味があるのだろうかと思うのですよ。
 それよりは「君達のやっている事は、全く理解できない」と言ってパージされる側に回るのを私だったら選びます。
 その上で、「とりあえず俺は齢だけは喰って量だけは君達より聴いて(読んで)来たから、その視点で言いたい事は言っとくから聞きたい所だけでいいから聞いとけ。何だったらCD(マンガ)貸してやるから持ってけ」という態度を示すかなあと。
 上手く言えませんけど、融通の利かない頑固ジジイにしか出来ない(音楽なりマンガなりの)シーンへの貢献、というのがあるんじゃないかと思うんですよね。そしてそれは時に、若者への単純な理解を示すよりも尊いと思うんです。
 紙屋さんは、マンガがつまらなくなった際の対処法として、
>だから、少年マンガがキツいな、少女マンガが読めないな、と思ったら、
>一度アニメを視てみる(アニメ化されていれば、ですけど)という方法があるのかなと思ったのです。
 と書かれていますが、俺だったらそこまでせんなあ、というかそこまでして理解する必要ないんじゃないかなあ、と正直思いました。
 マンガ読みとロック聴きの違いかもしれませんけど、例えばCD聴いてもダメだったんでライヴ行ってみようとかその逆とか、やらないですもんねえ。ライヴでダメと思ったバンドの音源をたまたまラジオかなんかで聴いて見直したとか、そういう事はありえますけど。
 紙屋さんが引用されていた円堂さん(この人昔ロッキンオンのライターだった人だよね?)のブログについても言及したかったのですがそれはまた後日。