こんにちは、TARJEELINGの聡文三です。
それではどうぞ。
―2013年の頭から作業を始めた、との事でしたが、ここの所1枚のアルバムを作る際はかなり時間がかかっていますね。少しかかり過ぎなんじゃないかという気もしますが。
聡:まあそうですね(笑)。ただ、バンドと違ってせーのの一発録りが出来ないので、ある程度時間がかかってしまうのは仕方がないという気もします。あと前回でも言いましたが、今回の作業では既にある程度できた曲を録音するというよりは、曲作りとアレンジ・録音を同時進行で作っていったという事もあり、いつもより大変だったというのはあります。
―録音方法なんかも結構変えたんでしょうか。
聡:機材なんかはほとんど変わっていないんですけど。ただ今までが機材のポテンシャルを2くらいしか使えてなかったとしたら、今回は5くらいは(笑)引き出せたというか。ただあんまり酷使し過ぎたせいで、実は作業の最終段階で機材が1個おしゃかになってしまったんですけど。
―(笑)。
聡:うちの機材は全般的に古いもんばっかりで、ハードディスクレコーダーで録ったトラックも一度CD-Rにしてから編集しなきゃいけないんですけど、その肝心のCDドライブがぶっ壊れちゃいまして。で困っちゃって、しょうがないから最後の方はヘッドフォン端子から直接PCに音を録音して編集しました。幸い作業の最終段階で壊れたのでそう沢山残りがなかったのと、そうする事で妙なアナログ感がトラックに出て割と結果オーライでしたけどね。
―そのドライブ、修理とかできないんですか?
聡:出来ないですね!もう代替品とかもどこにも売っていないような奴なんですよ。ああいうのってデジタル機器は本当にダメですね、ちょっと規格が変わるともう対応が出来なくなってしまいますから。昔のカセットMTRで作ってた頃からは音質的にも編集のヴァリエーションも信じられないくらい上がってますけど、そういう所は昔のカジュアルな機材の時代を懐かしく感じます。…だから、次に音源を作る事があったら、今度は機材を大幅に一新しないともう出来ないでしょうね。それこそ完全にPCオンリーの作業になる可能性もあります、あまり気乗りのしない話ですけど。
―でそうやっていろいろ苦労しつつ完成した音ですけど、単純に今までとはクオリティが格段に上がっているのみならずサウンドのヴァリエーションがすごく増えたな、という印象がありますが。
聡:TARJEELINGを始めた頃というのは、それまでソロ名義でやっていた曲作りの方法論をある程度封印してたんですが、前作「TWILIGHT HOPE」くらいからちょっと解禁してきて、今回は完全に一人になったもんだからかなり戻ってきた(笑)。ただ、TARJEELING初期のやり方で学んだ曲の作り方―不穏なコード進行とか、トリッキーな展開とかももちろん受け継いでいます。なので、TARJEELING以前と以降が段々自分の中で統合されてきた、という印象です。
―あとヴィジュアルというか、アートワークも相当ユニークなものになってて。
聡:前回も言いましたが、定額制の配信サービスも始まった今、音源をリリースするからには色々データではできない試みをするのが面白いと思います。で、今回はニュースがコンセプトになっているので、ヴィジュアル面では新聞をモチーフにしたものにしようと思って。昨年テレビ番組で、戦後の日本のサブカルチャーを特集する番組がありましたが、その中で80年代頃に流行ったカセットマガジンというアイディアが紹介されてて。ミュートビート(80年代に活躍した、日本のダブ・レゲエバンドの先駆的存在)が、音源をカセットでリリースして、架空の新聞を作ってその中に包むというパッケージを当時やっていたと聞いて、これはカッコいいと。
―へえ~。
聡:ただ、一から新聞を作るのはなかなか大変ですから、新聞をモチーフに、というアイディアだけ頂いて手作りでのパッケージを作る予定です。具体的にはちょっとまだ言えないんですけど、楽しみにしててください。
(続く)