2017年の総括

 久しぶりのコラム更新です。
 本日のテーマは月並みですが、年末なので「2017年の総括」というネタで書いてみたいと思います。
 
 私にとっての2017年を一言で述べるなら「転換の年」だったように思います。
 この1年の間に、私の生活にはいくつかの変化が訪れました。
 意図して変化させてものもあれば、いつの間にか変わっていったもの、否応なしに変わらざるを得なかったものと様々ですが、それらは単なる変化というよりは、今までとは違う方向に向かうためのステップ、プロセスのように感じるものが多かったように思います。

 意図した変化でいちばん分かりやすいものは、生活習慣を変えてみた事。
 具体的には起床時間を早め、40分ほどかけて肩関節をほぐす運動と黙想(および呼吸法の訓練)を始めました。
 肩の運動は肩こりの解消、黙想は集中力を養うのと精神をニュートラルな状態に戻すのに効果があるようですが(個人の感想です。やってみたらそういう気がしたので)、例えば深酒などした翌朝にはその効果も薄れるようで。
 黙想などが上手くいった時の心地よさと、酔っぱらった気持ちよさをはかりにかけたら前者の方がより気持ちよいように思えたので、結果的に酒量が(やや)減りました。また就寝時間も(こちらは元々それほど遅くなかったのですが)早くなりました。
 まるで年寄りのような生活ですが、よく考えたらもうそろそろ実年齢的にも年寄りですからね(笑)、このスタイルで当分の間は良いのではないかと思います。

 聴く音楽も相当変わりました。
 数年前から、学生の時以来という感じでラジオ番組を色々漁るようになったのですが、以前が夜~深夜の番組が主だったのだのとは対照的に、今は昼間や早朝の番組ばかりになっています(この辺も年寄り臭いな:笑)。
 その時間帯で取り上げられている音楽というと、クラシック音楽、邦楽(J-POPではなく長唄とか筝曲とか、そういう意味での邦楽)、非英語圏中南米とか)の音楽、果ては能楽や合唱曲まで、といった具合で、今まで疎いどころか聴こうという発想すらなかったそれらの音楽と日常帝に接するうちに非常に面白くなってきて、相対的に家にあるロックやポップのCDやレコードを聴く機会が激減しました。
 特に今の日本国のロック音楽シーンなどというものには全く関心が失せてしまい、たまにレコ屋で話題のインディ―バンドなるものを試聴してみても5秒と聴いてられない体になってしまったのです(これがヒップホップとかだとそうでもないのが不思議)。
 ただ、この状態、思いのほか楽しいです。たいていの場合ラジオを聴き流すだけなのでいつまで経っても詳しくなんかはちっともならないんですが、虚心を排して聴けば古楽器の音色にも地謡の響きにも(もちろん、エレクトリックギターのラウドな音にも)等しく音の快感を感じられるようになった事はとても良かったように思います。そう言う意味では、やっと本来的な音楽の楽しみ方が出来るようになってきたのかもしれません。

 ほかにも色々あるのですが、こうやって書いてみると、私に訪れた変化というのは、より楽しい方へ、より心地よい方へ、より感覚に忠実な方へと向かっているようです。10年ほど前には「楽しいだけじゃ、つまらないあなたへ」と銘打ったイヴェントを画策していた男と同一人物とは思えない(笑)。
 これを変節とか日和ったとか思われる向きもあるかと思います。分かります。自分が一番この変化を怪しんでるもの(笑)。
 ただ、過去の時分と矛盾を感じているかと言うと、全くそんな事はなくて、むしろ今までの流れの延長線上に今があるという感じがします。

 賢明な諸君はお気づきでしょうが、今の世の中、特にこの国のありさまと言うのは、あらゆる意味で危険なものになり始めています。
 それはそれこそ10年以上前から実感していた事なのですが(だからこそ上記のようなイヴェントを画策したのです。当時その事を気付いた人は少なかったけど)、ここ2~3年ほどは本当に、具体的に逸話が身に危険が及ぶようになってもおかしくない事態になったなと、割と真剣に思っています。
 それは何もtwitterのTLで日々流れてくる政府やメディアに関する(または当の政府やメディア自身が垂れ流す)ロクでもないニュースを見なくても、普段「市井の人」と呼ばれる人たちの振舞いや、街の風景の変わりようを観察していればすぐに感じ取れる事です。
 一朝事あらばこの人たちは、この街は、この国は、すぐに敵意と愚かさと卑劣さをあらわにして私のようなものを排除にかかるか、同調を迫るであろうし、同時に多くの者を巻き添えにして彼ら自身も自壊していくであろう。もうそういう未来が具体的に見える所まで来ているように思えます。
 で、そうなった時に、彼らにつきあわされてつぶされたり、同調させられるのはごめんだとつくづく感じたわけです。ただそれを防ぐためには、こちらもそれなりに生き延びるための力を蓄えておかなくてはいけない。それは金をためるとか色んな資格を取るとかそんな皮相な事ではもちろんなく(笑)―まあお金は有効っちゃあ有効ですけど、それすら紙くずとなる状況が来ないとは言えない―、したたかな楽観の姿勢と、動き回れる能力をキープしておく事、些細な変化を見逃さない感覚を磨いておく事が大切になって来るように思います。特に前者。私の老い先もそう長くないと思っているのですが(笑)、それでもそれなりの長期戦にはなりますから、マインドセットを悲観的なものにしておかない事がへばらないためには重要です。
 つまり、ある意味ではもう「戦時下」に入ってしまったんだと思います。それはどこかの外国のミサイルが云々というバカな話ではなく、「見えざる内戦」のような状況なのですが。
 で、「戦時下」を生きなくてはいけないという危機感から自分を変えようと思ったら、何だか知らないが楽しい気持ちいいな人生になりつつあるぞというわけです(笑)。いや、「戦時下」においても楽しい気持ちいいを敵に譲り渡すつもりのない、よりタフな生き方になりつつあるという感じかな。

 この感じがいつまで続くのかは分かりません。来年とかは青い顔してるかもしれない(笑)。
 ただ今年いくつかの事を変えた事で得たものは、今後にとっても少なからずプラスになるのではないかと、今はそう信じております。

 最後に音楽の事。これに関しては―音源作りを優先するため講演数減らしたりとかはありましたが―呆れるほど変化がなかった(笑)。
 まあ少なくとも来年の3月ごろまではこの感じを崩すつもりはないので、しばらくはこのまま、トラックの作成、ミキシングが主になるでしょう。
 製作にある程度目鼻がついたら、また攻勢に出ようかなと思っております。
 それまでは今しばらくお待ちください。

 私の音楽にお付き合いいただいた皆様、今年1年ありがとうございました。
 色々と寄り道やめんどくさい事の多い私ですが(笑)、なにとぞ来年もよろしくお願いいたします。
 それでは皆様佳いお年を!!